ユーザー導入事例

リードタイム短縮、小ロット化、
頻繁な計画立案により在庫削減を実現
膨大で緻密なデータに対処すべく、全7工場へ順次導入

ケイミュー株式会社様 建材

日本を代表する住宅外装建材の専門メーカー、ケイミュー株式会社(KMEW)。

屋根材、外壁材の各専門分野の技術力は高く評価されており、それらに雨樋販売を加えた外装事業全体のトータルサポート力とともに大きな強みとなっています。同社の外壁材は全国シェアの4割近くを占め、その内、約半分を製造しているのが北九州工場です。問屋・小売店経由の市販品に加え、大手住宅メーカーからのオーダーも多く、複数ラインを稼働して対応。また、お客様から要求される短納期でのご注文に対応するため、需要の多い首都圏向けには大量の在庫を保管しておく必要がありました。

しかし、経営環境が厳しさを増す中、大量の在庫は経営を圧迫する要因となります。同社では、お客様にご満足いただく短納期での配送を維持しながら在庫削減を図るべく、小ロット化を実現し、リードタイムの短縮を目指す取り組みを行っています。そうした取り組みを実践する上で、工程計画も月単位から週単位、日単位へと迅速化が必要となり、従来のように人手による計画立案ではもはや対応が困難な状況でした。そこで、工程計画のシステム化を目的にFLEXSCHEを採用。北九州工場に導入後、同社のすべての工場に展開されました。

経営環境が厳しさを増す中、在庫問題の解決が急務に

ケイミュー株式会社

ケイミュー株式会社

住宅外装建材のトップブランドメーカー、ケイミュー株式会社(KMEW)。同社は、2003年12月、株式会社クボタとパナソニック電工株式会社(旧:松下電工)、それぞれの住宅建材事業が事業統合し誕生しました。屋根材、外壁材の開発・製造・販売から雨樋の販売まで住まいの外装に欠かせないトータルソリューションを提供する総合力とともに、各専門分野の技術力も高く評価されています。

「暮らしをまもる、住まいを魅せる」という企業スローガンにあるように、環境と安全性への配慮、そして暮らしを豊かに彩るデザイン性は同社の大きな強みです。

たとえば、厚くて軽い、美しくて強い新素材の減震瓦「ROOGA」、光触媒による「セルフクリーニング機能」と「大気浄化機能」をもつ画期的な外壁材「光セラ」がその一例です。環境への取り組みとしては、石綿含有建材の無害化技術も注目を集めています。また、消費資材には可能な限り再生材料を使用し、全国の新築現場で発生する同社の端材を回収する取り組みも実施。資源循環型社会への対応が重要となる中、同社の技術力と付加価値の高い商品は活躍の場を大きく広げています。

売上高も1,000億円規模に達し、順調に成長を続ける同社ですが、経営環境が厳しさを増す中、在庫問題の解決が急務でした。

フレキシブル生産体制の確立へ全社的プロジェクトがスタート

坪倉 俊文 氏

外壁材事業副担当
北九州工場長 執行役員
坪倉 俊文 氏

古くから重化学工業で栄え、現在も多彩な分野の企業進出が進む北九州市。豊かな自然に囲まれたこの街に、KMEWの外壁材製造を担う北九州工場があります。北九州工場は「50万坪/約165㎡」の外壁材生産能力をもっており、これは同社の外壁材生産量の約半分を占めるものです。同社は現在、外壁材の分野で4割近いシェアがあり、この点からも北九州工場の規模の大きさが窺えます。

北九州工場では外壁材の「エクセレージ」という商品を製造しています。「エクセレージ」は有機塗装、親水セラコート、光触媒コーティングの3種類。同工場が扱っている商品は、問屋・小売店経由の市販品が400品番以上、その他に大手住宅メーカーからのオーダー品も加わります。

「お客様から要求される短納期でのご注文に対応するため、需要の多い首都圏では、大量の在庫を保管しておくことが必要でした。しかし、大量の在庫は経営を大きく圧迫します。メーカーとしての使命を果たしつつ、いかに在庫を減らしていくか。そのためには売れた商品をスピーディに補充生産していくスタイルが1つの理想です」と、KMEW外壁材事業副担当・北九州工場長の坪倉俊文氏は語ります。

外壁材は梱包サイズが大きく保管費が嵩むため、その観点からもリードタイム短縮の効果は計り知れません。2005年に、フレキシブル生産体制の確立を目指す全社的プロジェクトがスタート。製造、調達、計画のリードタイム短縮を目的とした現場改革を推進し、多品種小ロット生産への転換が進められました。

フレキシブル生産体制に応える計画は手作業では不可能

山口 義文 氏

北九州工場(現在 鹿島工場)
業務グループ グループ長
山口 義文 氏

同社では、段取り替え時間を短縮するための現場改善や、フレキシブル生産体制に合わせた工程表作成のための教育も実施。月1回の計画サイクルを週単位、日単位へと短縮することも目標となり、これまでのように手作業での計画作成はもはや不可能な状況でした。たとえば、北九州工場では計画に関して以下のようにさまざまな課題を抱えていました。

  • 月1回、3人の担当者が3日がかりで手作業により工程表を作成
  • 人への依存度が強く、ノウハウの継承も困難
  • 複雑な条件が担当者の負荷を増大
  • 度重なる工程変更対応に追われ、業務の効率化を考える余裕がない
  • 人がいろいろな資料や画面を見ながら計画に必要な情報を収集しているため無駄な時間が多い
  • 手書きなので修正対応が大変

北九州工場業務グループのグループ長、山口義文氏は、同工場における計画業務の難しさについてこう話します。「膨大な商品数、材料となるセメントが固まる時間や微妙な厚みの違いなど商品をつくる上でのさまざまな制約条件、在庫の現状や売れ筋の推測などを頭に入れて計画をつくらなければなりません。また、度重なる工程変更に対応するために複数のラインをフル活用し、この色とこの色は一緒につくった方がロスは少ないなど、タイミングを図りながら組み合わせていくのは計画担当者にとって非常に大きな負担となっていました。だから、工程計画を作成できるメンバーも限られていたのです」。

計画に関するさまざまな課題の解決を図るべくFLEXSCHEを導入

古味 康彦 氏

北九州工場 業務グループ
担当課長 古味 康彦 氏

前述のように、工程計画のシステム化は不可欠な状況でした。2005年当時、システム関係の窓口となっていた富田和雄氏(現在、同社外壁材事業戦略企画室 担当課長)は、同社の系列会社であるクボタシステム開発株式会社(以下、KSI)に相談。そこで提案を受けたのがFLEXSCHEでした。

「私自身が以前、FLEXSCHEを活用したプロトタイプの作成に関わったことがあり、自分達の業務に利用できるだろうという印象をもっていました。また、KSIさんのサポートにも大いに期待しFLEXSCHEの採用を決断しました」。

KSIは、クボタグループのシステム構築と運用経験のもと、幅広いお客様に製造ソリューションを提供しており、FLEXSCHEのビジネスパートナーでもあります。

同社では、まず北九州工場にFLEXSCHEを導入。「その際に重視したポイントが現場担当者の使い勝手です。専門知識がなくても誰でも使えるように、また現場のニーズにきめ細かく応えられるように独自にユーザーインターフェースを構築しました。たとえば、新しい担当者に引き継いだ場合も品切れや在庫の偏在など大きなトラブルを避けるために、画面上に品切れに近い商品をランキング表示する機能などを盛り込んでいます。使い勝手の面では、売れ筋や金型の種類など担当者による絞込みも簡単にできるようにしました」と、富田氏は説明します。

段取り替えが少ない計画を立案するため、柄まとめやシリーズまとめなどの情報も入れられるようにしています。「私が現場と話をしてニーズをまとめ、こういうことができないかと、KSIさんにはいろいろとわがままも言いました。きめ細かく対応していただき本当に感謝しています」と、富田氏はKSIのサポート力を評価します。

2年前、受発注システムの再構築に伴い、在庫データをリアルタイムにFLEXSCHEに自動連携し、FLEXSCHEでつくった工程計画は受発注システムに自動的に送信されるようになりました。その結果、現場に工程表として帳票がアウトプットされ、納期回答につながっていきます。

計画業務の効率化と質の両面が大きく向上

石川 正己 氏

北九州工場 業務グループ
石川 正己 氏

FLEXSCHEの導入により生産工程の計画作業は劇的に変化しました。従来との違いについて、北九州工場業務グループの担当課長、古味康彦氏はこう話します。「トラブルや変更があった場合も、複数ラインをフル活用して共通で流せるものがあればやりくりしてなんとか対応しています。その際、関係するすべてのラインの調整を行わなければならないのですが、頭の中で行うのは大変でしたし、見落とすリスクもありました。いまは、画面で全体の状況がわかりますから、瞬時に判断ができます」。

北九州工場業務グループの石川正己氏は手書きの大変さについて話します。「変更の際、指示書を出すのにも限界があって、泣く泣く消して書きなおしたりしていました」。

計画業務のアプローチの仕方も変わりました。「従来、何時間空くから前に詰めたらどうなるか、いや、またもとに戻そうなど、頭の中で時間を計算し調整していました。いまはシミュレーション機能を使ってドラッグ&ドロップで簡単に入れ替えて確認できます。これまではある程度、条件を固定させていましたが、より最適な方法を模索してから計画を立てるアプローチに変わりました」(石川氏)。

計画業務の効率性も大幅に向上しました。以前は、前工程1、前工程2、仕上げと、3工程に分けて3人で計画を立案。現在は、担当者2人がそれぞれ前工程から仕上げまで一貫して担当しています。「私が会社に来て最初にする仕事はFLEXSCHEを立ち上げることです。現状の確認や日々の調整など毎日、FLEXSCHEを触っています。新しい情報 に基づく計画立案作業は、週二回行っています。」(古味氏)。

計画にかける時間の質も異なってきました。「従来、まず品番ごとに画面から情報を入手し、在庫と販売のデータをExcelに転記していました。この作業にまず時間がかかります。また、入れ替えたときの時間の計算も電卓をたたいたりと、計画の準備段階に大きな作業負荷がありました。いまは何をどの順番でつくるのが効率的か、本来考えるべきことに時間をさけるようになりました。受注条件の変更や状況に応じて再検討しなければならないときも計画変更が簡単にできます」(石川氏)。

北九州工場に導入後、同社の7工場すべてに展開

富田 和雄 氏

外壁材事業戦略企画室
担当課長 富田 和雄 氏

FLEXSCHEは北九州工場に導入後、同社の工場すべてに展開されました。各工場は商品や製法、工程が異なっており、それぞれの工場の特質に合わせて新たな機能のアドオンやインターフェースに関する工夫が施されています。

「導入後、5つの工場で計画担当者が変わりましたが、いずれもスムーズに引き継ぐことができ、大きなトラブルも起きていません。工程表は各現場で根付いているのでインターフェースは工場の実態に合わせてほしいと、KSIさんにお願いしました。工場の現場から見ると、システムが変わった印象はないはずです。」と、富田氏は語ります。

在庫削減の面でも効果が期待されています。北九州工場長、坪倉氏は次のように述べます。「計画の質が上がれば、生産の効率も向上します。また計画がスピーディに立案できると、その分、資材も早く発注できるためトータルでリードタイムの短縮につながります。いままで月一回の計画を週二回にすることで、売れた商品を吟味しながら状況の変化をよりタイムリーに計画へ取り入れることが可能になりました。今後、精度を高めていくことでさらに在庫縮小に寄与していくのではないかと期待しています」。

在庫の削減を目的とするリードタイム短縮・小ロット化の実践に取り組む同社にとって、FLEXSCHEは今やなくてはならない存在となっています。

パートナーの声

私にとって、FLEXSCHEの案件はKMEW北九州工場様が初めてでした。当初、私自身もFLEXSCHEに対する知識がそれほど深くなかったこともあり、現場のご要望にお応えするために苦戦していました。北九州工場の担当者の皆様には、いたらない面もあったかと思いますが、辛抱強くおつきあいいただき、感謝しております。
パッケージの導入はもとより、インターフェースや帳票の開発、業務の運用マニュアルなどもお手伝いさせていただき、FLEXSCHEを現場に定着させるためのノウハウも蓄積できました。北九州工場様で第一歩を踏み出せたことで、KMEWの他工場へと展開することも可能になったと考えています。導入してから今まで長い間FLEXSCHEを使い続けていただいているのは「専門知識がなくても誰でも使えるようにする」という富田氏のコンセプトを実現することができたからだと思っています。2005年の導入から4年が経過し、FLEXSCHEのバージョンもあがっていますし、他の工場でアドオンした機能もあります。北九州工場様に新たなご提案を行い、さらなる効率性向上のお役に立てればと思います。

導入企業概要

ケイミュー株式会社様

本社 大阪市中央区城見1丁目2番27号クリスタルタワー13F
設立 2003年12月1日
資本金 80億円
社員数 1,786名(2010年4月1日現在)
事業内容 屋根材、外壁材の製造・販売。雨樋の販売および子会社を通じての施工・管理
工場 北九州工場をはじめ、国内7ヶ所で外壁材、屋根材を製造
URL

http://www.kmew.co.jp/

パートナーDATA

クボタシステム開発株式会社

本社 大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号
URL

http://www.ksi.co.jp/

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