エスカレーター片側空けは非効率?生産スケジューラFLEXSCHEで雑に検証!
エスカレーターの片側を歩く人のために空ける、という文化が都会にはあります。(地域により異なりますが、本記事では右側空けで進めます)
その暗黙のルールに、田舎出身の私は最初は戸惑いましたが、気がつけば無意識に右側を空けて乗るようになっていました。
その空けられているエスカレーターの右側ですが、基本的には歩く人の方が少なくほとんどの人が左側に乗っています。右側は誰も乗っていないのに皆が左側に乗ろうとするため行列になっていることもよくあります。数少ない歩く人のために空けておくよりも、左右均等に歩かずに乗った方が全体としてスムーズに行けそうな気がします。
が、本当にそうなのでしょうか?
と、いうことでエスカレーターを片側空けた場合と、歩かずに両側乗るようにした場合の全体としての所要時間を検証してみたいと思います。たくさんの人を集めてどこかのエスカレーターを貸し切って検証したいところですが、現実的ではないので生産スケジューラFLEXSCHEを使用します。検証に用いる時間などの数値は適当なので雑な検証であることをご承知おきください。
また、片側空けるべき/空けないべき、エスカレーターは歩くな、といったことを主張するわけではありません。エスカレーター製造業者や設置施設の案内する方法、条例に従って安全に気を付けてご使用ください。
検証
条件など
100人が上りきるまでの時間を止まる人と歩く人の割合を変えながら検証してみます。上るのにかかる時間は以下のようにしました。
前の人との間隔は1段空けることが多いので、
- 止まる人は前の人が乗ってから2秒後に乗る
- 歩く人は前の人が乗ってから1秒後に乗る
- 上りきるまでにかかる時間
- 止まる人は25秒
- 歩く人は10秒
上りきるのにかかる時間は品川駅のホームのエスカレーターの体感時間にしました。雑ですね。
では、検証してみます。
①止まる:歩く = 70:30
止まる人70人、歩く人30人としたときは以下のようになりました。
エスカレーターの左側・右側それぞれに表示されている細長い四角が一人の人が上り切るまでの様子を表しています。
灰色部分がエスカレーターに乗って上っている時間です。
その前の薄いピンクのような色の線がエスカレーターに乗るために待っている時間です。
総所要時間というのは、最初の人が上り始めてから、最後の人が上り切るまでにかかった時間です。
右側は39秒で全員が上り切っていますが、左側は163秒かかっています。最後に上った人は、上り始めるまでに2分近く待っていることになります。
チャートの左側の設定画面は、席替えアプリでもお馴染みのWebView2で作成しました。以下を調整できます。
- 左側・右側それぞれの止まる/歩く
- 止まる人・歩く人の上りきるまでにかかる時間
- 止まる人・歩く人の比率
実行ボタンを押すとそのときの設定でスケジューリングが行われます。左右どちらに対しても止まる/歩くを設定できるので大阪での検証も可能です。
②止まる:歩く = 50:50
では、比率を変更してみましょう。まずは50:50にして、右側は歩くままにしてみます。
歩く人が増えて、止まる人が減ったので、所要時間も減って123秒になりました。
③止まる:歩く = 30:70
次は歩く人をさらに増やして、30:70としてみましょう。

83秒とかなり短くなりました。また、左右どちらも同じくらいの所要時間となっています。まだ止まる人の時間の方が少し長いですが、これ以上歩く人を増やすと逆転しそうです。
④止まる:止まる = 50:50
最後に、比率は50:50にして左右どちらも止まるようにしてみましょう。
当然ながら、左右の所要時間は同じになりました。(実際の場面では、隣の人とは段違いで乗りそうなので1秒ずれそうですがここでは無視します。)
50:50で右側を歩く人とした②と比べるとどうでしょうか。②も④も所要時間は同じ123秒となっています。
まとめ
各結果をまとめると以下のようになりました。
番号 | 比率(止まる:歩く) | 所要時間(秒) |
---|---|---|
① | 70:30 | 168 |
② | 50:50 | 123 |
③ | 30:70 | 83 |
④ | 50:50(どちらも止まる) | 123 |
③のように、歩く人が多い場合には全体として短時間で上りきることができますが、そうでない場合には左側がボトルネックとなり、右側を歩こうが止まろうが全体としての時間は変わらないようです。であれば、歩く人の方が基本的には少ない実際の場面(①)では、そもそも歩かずに止まって両側を使う方(④)が全体としての効率がよくなり、行列が減って混雑も抑えられそうです。
以上、FLEXSCHEを使って、エスカレーターの片側空けについて検証してみました。
計画を立てるところからは少し離れた内容になってしまいましたが、FLEXSCHEでは様々な制約や条件を設定して計画を立てることができます。弊社ではFLEXSCHEを紹介するセミナーを定期的に開催しています!もっと詳しく知りたいという方のご参加をお待ちしています。