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生産スケジューラの導入検討
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「生産スケジュール」を立案するためのソフトウェアです。
「生産スケジュール」は「日程計画」とも言います。各オーダー(注文、製番)を生産するのに必要な一連の「作業」に対して、実施する日時や使用する資源(設備・機械・工具・人)を割り当てたものです。
生産スケジュールに基いて「作業指示」が出されることになるので、生産スケジュールは、操業上の様々な制約やルールを守ったものでなければなりません。
- 生産スケジューラを導入すると、どんな効果が得られますか?一覧へ戻る
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簡単に言えば、「生産に関する色々なことが明確になる」ということです。
混沌とした工場では、例えば、下のようなことが不明確なのではないでしょうか。
・現状の製造リードタイムはどれくらいなのか
・各オーダーはいつ製造完了するのか
・在庫の適正量はどのくらいなのか
・どの工程がボトルネックなのか
・設備や機械は必要十分なのか
・原料XXXに対して、いつ、どれだけの量を手配すればよいのか
・生産性を上げるためには、各設備でどういう順番にオーダーを流していけばよいのか
・製造の作業者の中で誰が忙しくて誰がヒマなのか
・どこをカイゼンすれば全体としてどうなるのか
生産スケジューラを核とした生産計画・生産管理システムによって、これらのことが明確になります。「目で見る管理」を実現できる、とも言えます。
しかも、過去や現在だけではなく、ある程度未来の状況まで見通すことができます。従って、今後発生しそうな問題に対しても、後追い(泥縄)ではなく、事前に十分検討して、効果的・効率的な対策を施すことができます。
例えば、日経ビジネスオンラインの人気コラム「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く~」の第28~30話では、限られたリソースで効率的に生産するためにどうすればよいか、という話題が取り上げられています。
「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く~」へのリンク
そこでは、達也はボトルネック工程の重要性を説き、益男を論破しようとするのですが、逆に反感を買ってしまいます。もし、達也が生産スケジューラを使って上手に「見える化」していれば、スムーズに共感が得られていたかもしれません(そうなると物語は盛り上がりませんが)。
ちなみにその内容をFLEXSCHEで実現すると次のようになります。
FLEXSCHEサンプルデータ
【達也案】
【三案比較】
こうしてみると、達也案が、稼働時間 最短 かつ 限界利益 最大 となり、最も優れていることが一目瞭然です。
生産スケジューラは工場の未来を見通す魔法の眼鏡、と言えるかもしれません。
ただし、眼鏡が曇っていれば、見えるものも限られてしまいますし、眼鏡が歪んでいれば、見えるものも歪んでしまいます。適切な判断を下すためには、クリアな眼鏡が必要です。
そのためにも、「工場にフィットする生産スケジューラ」を導入することが非常に重要です。
ところで、上のような効果を期待してERPを導入されることも多いようですが、実際には、このような細かなことに関してはERPではデータが粗すぎて十分ではなく、生産スケジューラで初めて効果が得られる、ということもまた多いようです。
生産スケジューラの導入効果についてもう少し詳しく説明しておきます。生産スケジューラを導入することによって、直接的には以下の効果が得られます。
1.効率的なスケジュールを立案できるようになります。
2.計画作成の属人性を削減できます。
3.高速にスケジューリングできるので、状況の変化に素早く対応できるようになります。
4.工場全体を、将来にわたって、精度良く、見通せるようになります。
5.どこに問題があるのかが明確になり、また、各対策案によりどのような効果が得られるのかを事前に定量的に確認できるようになります。したがって、的確に判断できるようになり、また、適切な対策を早い段階で実行することができるようになります。
その結果として、
・生産性向上
・製造リードタイム短縮
・納期遵守率向上
・在庫量削減
などの効果が期待できます。
これらの効果の大きさは、工場の規模や取り組み方、景気などの外部要因によっても変わってきますが、リードタイムや在庫量に関して言えば、20%~50%改善されることも珍しくありません。
ただし、注意すべきなのは、生産スケジューラを購入すればそれだけで効果が出るわけではない、ということです。上で「効果が期待できます」と書いたのは、実はそれが理由です。たとえば、スケジューラによって「この資源がボトルネック」とわかっても、それに対して何のアクションもしなければ、それまでです。一方、そのボトルネック資源を徹底的に活用し、段取り替えを短縮し、代替資源を見つけてくるなどの努力をすれば、大きな効果が得られます。
つまり、生産スケジューラはあくまでもツールです。人間がそれを使って、判断し、行動することによって、初めて効果が得られるのです。
特に、これは生産スケジューラの特徴・宿命なのですが、導入には工場全体の様々な部署の関与が必要です。また、通常の場合、導入によって業務の内容が変化します。それらの関係者(=ステークホルダー)をどのようにして前向き・主体的に取り組ませるかで、効果は大きく異なってきます。場合によっては、各部署や社員の評価基準も変える必要があります。
したがって、ソフトウェアに詳しい若手社員に任せておけばいい、というものではありません。社長や工場長の直属部隊が、しかるべき権限と責任を持って進めるべきです。
- 生産スケジューラパッケージを選ぶ際には、どんな点に注意すべきでしょうか?一覧へ戻る
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使いやすさ、機能、価格、・・・など、様々な評価基準があるでしょうが、特に大事なのは、「工場に合うかどうか」です。工場に合わないパッケージを選んでしまうと、悲惨なことになります。
工場に合わなければ、効果が限定されます。稼動や運用に要するコストや手間に比べて効果が小さければ、誰も使いません。費やした時間やコストが無駄になるだけでなく、本来得られたはずの効果を逃したことも大きな損害です。
とは言うものの、本当に合うかどうかの判断は、正直、なかなか難しいものです。
というのは、パッケージのことは使っていくうちに理解していくものです。逆にいえば、完全には把握していない段階でパッケージを選定しなければならないことが多々あります。
また、導入を進めていくことによって、工場側の各担当者がようやくイメージをつかめるようになり、そこで初めて本当の要求が出てきて、そのときになってパッケージに合わないことが判明する、というケースも珍しくありません。
さらに、製造業は「日々新た」でなければなりません。したがって、それを支える生産システムについても、運用開始後の変更や改善は、確実に必要です。
したがって、それらの要求の変化を見越して、それに耐える「懐の広さ」を備えたパッケージを選定する必要があります。
つまり、
・工場に合うこと
・柔軟性に富むこと
が非常に重要です。
また、長く使っていくものであり、また、導入には様々なノウハウが必要になるので、
・使いやすさ
・製品および開発元の将来性
・サポート体制
なども重要な点です。
なお、工場に合うかどうかを判断するのに、同じ業種への導入実績がどれくらいあるかは、参考にはなりますが、過信は禁物です。
というのは、現在本当に稼動しているかどうか不明確ですし、また、同じ業種でも工場によって様々な違いがあるからです。やはり自己責任でしっかり検討すべきです。
- 生産スケジューリングシステムを導入するのに、どれくらいの期間、コスト、マンパワーが必要ですか?一覧へ戻る
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導入前の状況や、ゴールのレベル、進め方の巧拙、などによって非常に様々です。
あえて参考として数値をあげれば、最初の稼動までで、
期間:数カ月~1年半
システム構築コスト:数百万~数千万円
ユーザー企業側マンパワー(システム構築除く):数人月
というところでしょうか。
- 生産スケジューラをユーザー企業だけで導入できるでしょうか?一覧へ戻る
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不可能ではありません。
ただし、生産スケジューラの導入には様々な「重要ポイント」があるので、ノウハウを備えたコンサルタントやシステムインテグレーターに手伝ってもらうのが安全かつ効率的です。
実際、ユーザー企業だけで導入しようとした場合、プロジェクトが長期化する傾向が強くなっています。
早く立ち上げて早く効果が得られるメリット、失敗に終わった場合のデメリット、コスト等を比較して、判断してください。
- 生産スケジューラを導入したいのですが、上司がOKしません。どうやって説得したらいいでしょう?一覧へ戻る
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ケースバイケースでなかなか難しいですが、一般論としては、「会社にとって、生産スケジューラを導入するのと、しないのとで、どちらが良いか?」で、「導入するほうが良い」と判断されればOKとなるはずです。
そのためには、判断者の思考・志向・嗜好を踏まえて、判断材料を提示しましょう。
判断材料としては、例えば、「経営環境」「現状分析」「経営課題」「経営効果」「コスト」「実行計画(実現時期、本当に実現できるのか、想定リスクとその対処)」「やる気」などがあるでしょう。
説得しているうちにいつの間にか敵対するかのような状況になりがちですが、「論破」でなく「共感」してもらうにはどうすればよいか?を考えることが大切です。
政治的には、直属の上司がダメならさらにその上から、などの手もあります。
但し、一般的には、OKが出ないのは、訴える側の視野が狭いから、であることが多いようです。
本当に必要だとの信念があるのなら、めげずに何度もトライしましょう。
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