ユーザー導入事例

「管理されたモノづくり」実現に取り組み、
生産計画遵守率が35%以上大幅改善

株式会社月星製作所様金属部品(冷間圧造)

石川県加賀市に本社を構える株式会社月星製作所は、自動車用部品・オートバイ用部品の製造を専門とする精密部品メーカーです。複雑な形状の製品の加工を可能にする冷間圧造をコア技術とし、切削、研削、熱処理、表面処理までを一貫しておこなっています。自動車・オートバイの本場であるアメリカとドイツに事務所を構え業界のグローバル化にいち早く対応し、緻密な製造が求められる業界で世界中の顧客の要望に応える品質の高い製品を、本社工場を含む国内3つの工場で製造し続けています。同社はさまざまな顧客からの多様な受注に対応するために生産スケジューラの導入を検討し、独自の工程管理にも柔軟に対応可能なFLEXSCHEの導入を開始しました。1度は導入を中断したものの、「管理されたモノづくり」の実現を目指して全社的に動き出したことをきっかけに社内体制を見直し、生産計画遵守率の大幅な改善を実現しています。FLEXSCHEの導入に関わった皆様に、1度目の導入検討から導入成功後の現在の運用状況まで幅広くお話をうかがいました。

現場の状況に応じた柔軟な生産計画を求めスケジューラ導入を検討

生産管理部生産管理課 副課長 前田 達伸 氏(左)と
イノベーション推進室 係長 河原 洋 氏

フレクシェ(以下フ) FLEXSCHE導入以前に抱えていた課題について教えていただけますか?

前田(以下前) FLEXSCHEの導入前は、生産スケジューラのような各工程での情報共有はできておらず、生産計画の管理は工程毎に行っていました。工程ごとの納期をあらかじめ決めておき、それぞれの工程が納期に合わせて作業を行うといった感じです。そのため、ある工程で納期の遅延や前倒しが発生したとしても、その後ろの工程がスケジュールの調整に対応しきれないという状態が度々起こっていました。

 現場では具体的にどのようなことが起こっていたんですか?

 そうですね……、製品が工程間の途中で滞ってしまうことや、前工程から何も流れてこずにラインが空いてしまうといったトラブルが多発しており、これによって全体的な納期遅延が増えてしまっていました。加えて特定の担当者だけにマスタ管理を任せていたため業務の属人化が進み、納期遅延率がさらに高まるという問題も発生しており……。こうした課題の解決を図るため、生産スケジューラの導入を検討することになりました。

独自の工程管理方法に対応できたのはFLEXSCHEだけ

 ご検討にあたって、どのように生産スケジューラを選定したのでしょうか?

 情報収集にと赴いた 2013年のMEX金沢の展示会で株式会社ジェー・シー・エス コンピュータ・サービス(以下、JCS)さんに出会い、そこで生産スケジューラを検討しているというお話をしたところ、マスタ設定の自由度が高く、柔軟にスケジュール調整できる生産スケジューラとしてFLEXSCHEをご紹介いただきました。その後、生産管理部と製造の現場部隊である製造部で他のスケジューラを含めいろいろと検討しましたが、結果として満場一致でFLEXSCHEの導入を進めることを決めました。

 満場一致だったのですか! FLEXSCHEの導入の決め手は何でしたか?

 なんといっても他社製品にはない柔軟性が衝撃的でした。私どもは多品種少量生産が強みである一方、独自の進め方をしている製造工程が多いため、JCSさんには弊社のやり方に合わせた使い方ができることが最優先の条件であることをお伝えしました。その点でFLEXSCHEは私どもの製造工程に合わせて簡単に手を入れられたのでほとんど迷いはありませんでした。同時期に試した他社製品の多くは、スケジューラを弊社の工程の管理方法に合わせることができず、工程の管理方法をスケジューラに合わせる必要がありましたので、FLEXSCHEがなければどうなっていたか想像もつきません。

 FLEXSCHEの柔軟性をご評価いただけたのですね。ありがとうございます。

「管理されたモノづくり」実現を掲げ 社内体制を変更し、全社を挙げて導入を推進

河原 洋 氏

イノベーション推進室 係長
河原 洋 氏

 一方で、導入から約1年後にFLEXSCHEの運用を一時中断されたと伺っております。中断に至った理由は何だったのでしょう?

 この当時は生産管理部が全体の納期を提示し、現場部隊である製造部が納期に合わせた生産計画を立案するという分担で業務を進めていました。FLEXSCHEの導入は、私ども生産管理部ではなく製造部が中心となって、計画立案の効率化と工程間の連携を目標に進めていたのですが、属人化された計画立案からの脱却が難しくなってしまって。長期的に運用し続けることを考えたときに、当時の座組では製造部単独での継続運用は難しいという結論に至りました。

 それからどのようにして再度FLEXSCHEを導入するに至ったのでしょうか?

 きっかけは2021年頃、弊社が掲げるスローガンである「管理されたモノづくり」の実現に向けて、さまざまな社内体制を見直す動きが起こったことにあります。導入中断から数年が経過していましたが、この間も工程間の連携や納期に関する問題は解消できておらず、社内体制の見直しと合わせて再びFLEXSCHEの導入プロジェクトを推し進めることになったんです。

 FLEXSCHEを再びご検討いただきありがとうございます。先ほどのお話では、製造部単独での継続運用が困難という理由で導入を中断されていましたが、再検討にあたってはどのように取り組まれたのでしょうか?

 まずは社内体制の見直しの一環として、製造部が担っていた計画立案業務を生産管理部へと委譲しました。この計画業務体制の変更によって、FLEXSCHEの導入は生産管理部とイノベーション推進室が担当することになり、かねてからの課題であったスケジュール作成の属人化、そしてFLEXSCHEの継続運用体制の確立に着手しました。

 FLEXSCHEの再導入にあたり、苦労された点がございましたらお聞かせいただけますか?

 FLEXSCHEを再導入する前段階として、製造各部門との調整を約1年かけて行いました。その目的は、生産管理部における製造現場のスキルやノウハウの理解と、製造現場へのFLEXSCHEの啓発を同時並行で行うことにありました。私がExcelで作成した表を用いて生産計画を立案しつつ現場の希望や要望のヒアリングをしていたため、これにはとても骨が折れました。

 Excelを使った計画立案!大変なご苦労をされたのではありませんか?

 正直手間がかかる作業ではありました(笑)。しかし、現場の話を直接聞くことができたので現場についての理解が進み、現場の課題に対しての解像度はかなり上がりました。今となって思い返すと、その後のスムーズなFLEXSCHEの導入に向けて必要な時間であったように思います。

河原(以下河) イノベーション推進室では、基幹システム内で管理するマスターデータをFLEXSCHEに参照させるべく、つなぎ込み部分の開発を行いました。苦労した部分もありましたが、データの保守は内側で、アプリケーションは外側で管理できるような棲み分けを行ったことで、その後の継続運用を見据えたマスタの整備ができました。情報システムの立場からすると満足がいく出来になったと思っています。

 準備段階のご奮闘がFLEXSCHEの導入成功につながったのですね。導入プロジェクトの立ち上げから稼働開始まではどの程度の時間がかかったのでしょうか。

 プロジェクトの立ち上げから稼働開始までだとおよそ1年ですね。2022年4月から本社工場内で正式に稼働を開始しました。

生産計画遵守率を35%以上大幅改善、計画調整も容易に

 FLEXSCHEを導入したことで目に見える変化はありましたか?

 特に改善できたのが生産計画遵守率です。FLEXSCHEを導入する前では第1工程の生産計画遵守率は45%程度だったものが今では80%から90%にまで改善できました。

 大幅な改善ですね!

 第1工程は文字通り最初の工程なので、ここが遅れると全てのスケジュールが崩壊しかねません。私としてもスタート地点でこれほどの成果が出せたことを嬉しく思います。この数字は、製造部門から受けたスケジュールの変更や調整を反映させた上での結果ですので、精度を上げられる余地はまだまだ残されているといえます。

 さらにリスケジュールを夜間にできるように開発したことで全体的にスケジュール進行がスムーズになりましたね。FLEXSCHE導入前は前田が手動でスケジュールを調整している姿を見ていましたが、もうあの作業には戻れないと思いますよ。

 第1工程だけなら手動で合わせられますが、途中の工程まで動かすのは本当に大変でした。今はFLEXSCHEが自動で割り振ってくれるようになりましたので、以前は断念していた画後の調整にも手を入れることができています。

 やはり大変な作業だったのですね……。FLEXSCHE導入によって前田さんの負担が軽減されたようでうれしいです。

 LEXSCHEの導入は第1工程から優先して行いましたが、今では社内工程の9割以上でFLEXSCHEにて計画しています。本当は仕入れ先にも入れてもらうつもりだったんですが、これは次のステップと考えています。

FLEXSCHEをさらに活用し、目指すはスマートファクトリー化

前田 達伸 氏

生産管理部生産管理課 副課長
前田 達伸 氏

 FLEXSCHEを活用した今後の展開について教えてください。

 最終的な目標はスマートファクトリー化です。そこに向けてFLEXSCHEをどうグレードアップさせ、どのようなシステムと連携をしていくのか、具体的な検討をしはじめています。今よりもさらに省人化を進め、少数精鋭でやりきれるだけの体制を作り上げるため、各所と相談を開始しています。ただし、スマートファクトリー化といった大きなテーマは、目の前の課題を解決した先にしかありません。まずは今も残り続けている、属人性の高い業務をシステムに置き換えていく必要があるでしょう。さらにはFLEXSCHEをより高い精度で活用し、生産計画遵守率を100%に近づけていきたいと思っています。

 システム側からも、できるだけベテランの経験のみに頼る業務、いわゆるカンコツ作業からの脱却をサポートしていきます。さしあたっては、生産管理に使用しているJCSさんに開発していただいたMPS(基準生産計画)システムとFLEXSCHEで重複している機能があるので、それをFLEXSCHE側に統一させることでシステムを簡略化させ、より効率良い運用を目指していきます。さらにはMESを活用したデータ分析にも力を入れたいと思います。やらなければならないことは山積みですので、この先は忙しくなりそうですよ。

 弊社も皆様の課題解決に貢献できるように尽力いたします。今回はお話を聞かせていただきありがとうございました!

インテグレーターの声

株式会社ジェー・シー・エス コンピュータ・サービス

月星製作所様には、2013年のMEX金沢にてお声がけさせていただきました。生産管理の属人化解消や工程間連携の問題解決といった課題解決には、柔軟性が必要不可欠であると考えFLEXSCHEをご提案いたしました。

プロジェクト中断後も弊社でスクラッチ開発したMPSシステムを採用していただき、生産管理にご活用いただいており、2021年のプロジェクト再開時には、基幹システムとの連携など、システム面でのサポートも行いました。運用開始後もトライアンドエラーを繰り返しながら機能調整を行い、より便利にご活用いただけるようになりました。ご検討いただいている機能拡張や新ツール導入に向け、現場のニーズに合わせたご提案をさせていただきます。今後も月星製作所様のご要望にお応えできるよう、柔軟かつ迅速に対応させていただく所存です。

導入企業概要

株式会社月星製作所

本社所在地 〒922-8611 石川県加賀市永井町71-1-1
設立 1947年
資本金 310,500,000円
従業員数 510名
事業概要 自動車用特殊精密部品、オートバイ用特殊精密部品、産業機械用部品
URL https://www.tsukiboshi.co.jp

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