ベテランインタビュー
取材日:2018年2月
株式会社ジェー・シー・エス コンピュータ・サービス代表取締役社長 松尾郁夫氏
営業部 取締役部長 宮澤郁生氏
JCSは2005年よりFLEXSCHEパートナーとなり、長年の地道な営業活動の末に導入実績を重ねていきました。同社とFLEXSCHEの出会いからビジネスを軌道に乗せるまでの道のり、そして他のFLEXSCHEパートナーとの協業について、代表取締役社長の松尾郁夫氏と営業部部長の宮澤郁生氏にお話を伺いました。
上越の地で1973年に創業
- フレクシェ
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『株式会社ジェー・シー・エス コンピュータ・サービス』という社名の由来を教えてください。
- JCS 松尾
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まずJCSというのは『上越コンピュータ・サービス』の略称です。
- フレクシェ
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えっ?ということは「コンピュータ・サービス」が社名の中で繰り返されているんですか?
- JCS 宮澤
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ええ。もともとは兄弟会社に当たる『新潟コンピュータ・サービス』(当時)に倣って『上越コンピュータ・サービス』としたかったのですが、登記の関係上それができず、創業時は『株式会社上越電子計算センター』としました。それでもせめて略称だけでもとJCSを名乗っていたのですが、1989年の社名変更の際には、すでに地域で定着していたJCSをそのまま社名に入れたのです。
- フレクシェ
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なるほど。では事業形態について教えてください。創業から現在に至るまでどのように変化されていったのでしょう?
- JCS 松尾
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創業時のメインビジネスであった受託計算業務が先細りし、オフコンやパソコンの販売、ソフトウェア開発などとシフトしていきました。今では製造業や建設業、サービス業などのシステムのスクラッチ開発が中心です。あとはお客様先へのエンジニアやプログラマを常駐させる派遣もしています。
- フレクシェ
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FLEXSCHEを取り扱っていただくようになったのは2005年ですが、元から製造業の顧客は多かったのでしょうか?
- JCS 宮澤
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狭い地域なので幅広い業種に対応する必要がありますし、様々なお客様がいましたが製造業は決して多くなかったです。以前、得意にしていたのが酒類の卸問屋などで、販売業務といえども酒類だと税金などの面で少々特殊性もありました。製造業で言うと原材料の在庫管理などのシステムを扱っており、一時はお客様の工場内に分室を置いて常駐で業務も行っていましたね。
- フレクシェ
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現在は上越にとどまらず、広い商圏をお持ちですよね。
- JCS 松尾
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上越は新潟県の西端にあり新潟市からもずいぶん遠いんです。むしろ、長野や北陸の方がアクセスしやすく、県外にも営業範囲を広げていき、今では県内を中心に広い範囲にお客様ができました。FLEXSCHEを扱うようになってからは製造業に営業をかけやすくなったのですが、県内の製造業は決して多くなく、長野・北陸の方がずっと多いですから。一番遠いところで言うと、福井にもお客様がいらっしゃいます。
- フレクシェ
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福井ですか! それだけ商圏が広いと営業の方々の移動も大変なのではないですか?
- JCS 松尾
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そうですね。福井と言うと東京と同じくらい遠いですから、今後は各地域で協業できるパートナーさんを見つけたいですね。
FLEXSCHEとの出会いのきっかけは
「妻の仕事が楽になれば」
- フレクシェ
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JCSさんと弊社の関わりは2005年に松尾さんからお問い合わせをいただいたところから始まったのですよね。当時は製造業の顧客は多くなかったとのことですが、どうしてFLEXSCHEにご興味を持っていただけたのですか?
- JCS 松尾
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実は私の妻が製造業で勤めていて、まさに生産計画や原材料の手配、お客様に対する納期回答などの業務を担当していました。いつも家に仕事を持って帰ってきていて、かなり苦労しているようでした。それを見て「なんとかしてあげられないかな」と思ったのがもともとのきっかけです。そして色々と調べた末にFLEXSCHEに行き当たりました。
- フレクシェ
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奥様を助けるためにということですか! なんて素敵な旦那様なんでしょう!!
- JCS 松尾
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最初はごく私的な興味からだったんですよね。もちろん、ビジネスにつなげられる可能性も感じていたので問い合わせをさせていただきました。
- フレクシェ
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そのすぐあとに弊社にて打ち合わせをさせていただきましたよね。その時のFLEXSCHEの印象を教えてください。
- JCS 松尾
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まずデモを見せていただいた時、ビジュアルからしてインパクトがあって感動しました。当時はテキストベースのシステムしか扱ったことがなく、それに対してFLEXSCHEは操作画面にグラフィックがふんだんに用いられていて、それだけでも期待感が高まりました。もちろん、その機会だけで全ての評価はできませんし、まず私自身がよく理解しようと思ったのを覚えています。ただ、すぐ社内の会議で「面白いシステムだからやってみたい」と話しました。
- フレクシェ
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その後、パートナーとして参加していただくようになったきっかけは?
- JCS 松尾
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御社からは、受注につながらなくともドアノック商材くらいの意識でやってみてはどうか、と言っていただいていたので、私もまずは参加してみようかな、というくらいの気持ちでした。そういうタイミングで御社から新潟県内の案件があると知らせを受けて、プレゼンテーションに同行させていただきました。
- JCS 宮澤
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導入支援などはなくライセンス販売のみ、という案件だったので実際の大きな業務はなかったのですが、結果としてそれが御社との最初の取引であり、パートナーとなったきっかけでもありました。
- フレクシェ
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御社のような地域に密着した会社とパートナーになれたのは弊社としてはとても嬉しいです。それを境に、FLEXSCHEに関する営業活動もスタートされたのですか?
- JCS 松尾
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そうですね。訪問やDMで集客し、まずは上越と県央の燕三条というところでセミナーを開催しました。
- フレクシェ
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そして早々に1件導入が決まりましたよね。
- JCS 宮澤
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そうなんです。その最初のセミナーに、まさに生産計画に関わるシステムを検討していたタイミングだったという、古くから取引のあるお客様がいらっしゃいました。そのお客様は総合化学メーカーでスケジューリングにかなり難しい条件があり、その部分は妥協せざるを得ない他社の生産スケジューラで決まりかかっていたところだったそうです。
- フレクシェ
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化学系のスケジューリングって難しいですよね。具体的にはどういう条件だったのですか?
- JCS 松尾
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生産の過程で発生する副産物を循環させて用いるのですが、その濃度が極端に変動しないようにバランスを取りつつ生産していくような計画を立てなくてはいけませんでした。そこを御社にご助力いただきまして、プログラミングで解決することができたんです。それがアドバンテージとなって一転してFLEXSCHEに決まりました。
- JCS 宮澤
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ですが、そのまま次々に導入が決まっていったというわけではありませんでした。引き続きセミナーを中心にして営業を進めていき、導入見込みはたくさんあるけれどなかなか決まらない、という状況が続いていて、そんな時期にリーマンショックがやってきたんですよね。
- JCS 松尾
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もうすぐ決まりそうだという案件も次々に凍結になり、3年くらい全く受注がない状況になってしまいました。
- フレクシェ
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しかしながら、営業活動は継続されていたのですよね。
- JCS 松尾
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もちろんそうです。FLEXSCHEの取り扱いをやめようと思ったことは一度もありませんし、御社の営業からも見込みのあるお客様は多い、という情報をいただいて、それを信じてやっていましたね。なかなか売れないけれどセミナーの集客はずっと良かったです。
- JCS 宮澤
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景気が悪くて投資マインドはないけれど勉強マインドはあると言うか、どこも情報収集には積極的でしたよね。
- JCS 松尾
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その当時、私が積極的に行っていたのが営業先でプロトタイピングをたくさんやらせてもらうことでした。とにかく売り込んで、そこで工場のデータの一部をいただき、持ち帰ってモデリングし、お客様にお見せしていましたね。そして「このモデルではこれがダメだ」とか「こういう条件があるんだよ」と聞かされてまた持ち帰って、ということを何度も何度も、無料でやっていました。それが製造業への理解、そしてFLEXSCHE自体の理解を深めることにつながりましたね。
- フレクシェ
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エンジニアに任すのではなく松尾さんご自身でやられていたのですか?
- JCS 松尾
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そうですね。弊社としてはFLEXSCHEが今後、重要なソリューションになると考えていたのですが、費用をいただくわけではない仕事を忙しいエンジニアたちにはなかなか振れませんし、FLEXSCHEビジネスの中心であった私が担当していました。でもそれも私にとっては面白い仕事でしたよ。受注はほとんどありませんでしたが、その積み重ねが今に活きていると感じます。
FLEXSCHEパートナー間での協業の実現
- フレクシェ
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現在はどのくらいの頻度でFLEXSCHEのセミナーは開催されているのですか?
- JCS 宮澤
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今は年に3回ですね。上越・長野・北陸で、1回あたり2日連続、2会場で行っています。
- フレクシェ
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長野では『キッセイコムテック株式会社』(FLEXSCHEパートナー)さんと共催ですよね。
- JCS 宮澤
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そうですね。ある引き合いがあった時にコンタクトを取る機会をいただいたので、その際に協業のお話になりました。実際の案件での協業実績はまだ多くないですが、セミナーの集客は良くなりました。お互いに売りたいものがはっきりしていますし、ちょうど補完的な関係になれていると思います。
- フレクシェ
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他のパートナーさんとも協業されていますよね?
- JCS 宮澤
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ほかにも二社のFLEXSCHEパートナーと協業しています。そのうち一社とは商圏も近く、もともとは競合関係にありましたが、パートナー会でお話する機会をいただき、今では良い関係性を築けています。
- JCS 松尾
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自社案件が常に安定してあるわけではないですから、協業の中で継続的にFLEXSCHEを扱うことでノウハウを蓄積させていくことも重要だと考えています。仕事があれば技術者のスキルも磨かれます。現在、FLEXSCHEに携わるエンジニアは全部で6名いますが、今後はそれを増やしつつ製造業に対する理解も深めて、1人で全てを任せられるようなスタッフも育てていきたいですね。
システムは機能し、効果が出て初めて評価される。
そこにこだわってこれからも
- フレクシェ
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営業活動における弊社のサポートはいかがですか?
- JCS 松尾
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何かあってやり取りする時もレスポンスが早く、素晴らしいと思っています。コンペになる可能性がある引き合いに関しては、商談の場には早い段階から同行していただいていますし、そのように動いていただけるとやはり受注の可能性も上がります。
- フレクシェ
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そしてフレクシェ社全体に対してもご評価を伺えればと思うのですが……。
- JCS 松尾
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直接目の前にしてというのは申し上げにくい感じもしますが(笑)、とにかくデキる人が集まった会社だなと感じています。『OpenDay』で相談に行ったらどんな悩みにも答えていただけますし、非常に助かっています。フレクシェ社は技術力で食べている会社という印象が強く、我々が目指す会社としてのあり方に近いです。パッケージメーカーとシステムインテグレーション、やっている仕事は違いますが基本となる技術や価値観は共通ですし、弊社のエンジニアも御社の社員の方々とより多く接点を持ち、刺激を受けてもらえたらと思います。そういう意味でも今後はFLEXSCHEのエンジニアを増やしたいですね。
- フレクシェ
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ありがとうございます。私共としてもそう言っていただけると身が引き締まる思いです。最後に、FLEXSCHEに限らず御社の業務に対するポリシーや松尾さん自身の仕事への思い入れについてお伺いさせてください。
- JCS 松尾
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我々が作ったものはちゃんと使っていただいて初めて価値を生みますし、効果が出て初めて評価されるものだと思います。会社としてそこにこだわり、お客様に貢献できるよう今後も業務にまい進していきたいです。私自身、この世界にあって唯一無二の存在でありたいという欲求があります。誰でもできることを普通にこなして終わり、ではつまらないですから『これは私にしかできない仕事だ』という自負を持って仕事ができることを目指したいです。そして社員たちもそこを目指してスキルを磨いていってほしいですね。
松尾社長とフレクシェ代表浦野のツーショット(フレクシェ社オフィスにて)