FLEXSCHEバージョン14
FLEXSCHEバージョン14.0を2014年6月16日にリリースしました。多数の新機能の追加と改善が施されています。そのうちの主だったものをご紹介します。(バージョン13.0との差分)
FLEXSCHE Analyzer
生産スケジューラーは高度にモデリングされた仮想的な工場といえるものであり、そこに集積されたさまざまなデータは、まさに「宝の山」といえるものです。そこから抽出したさまざまな指標を多角的に分析することで、製造業にとって価値のある情報を得ることができます。それは計画立案業務のみならず、経営判断にも大いに役立つものでしょう。そのための手段を提供する仕組みがFLEXSCHE Analyzerです。
FLEXSCHE Analyzerは以下のようなシーンでご活用いただけます。
- 長期的な設備稼働率や納期遵守率を分析して設備投資の判断に役立てる
- 在庫量と需要のゆらぎを分析し、各部品に設定された安全在庫量の妥当性を評価する
- 品目ごとの製造コストや生産リードタイムを緻密に集計して、プロダクトミックス計画に反映させる
- 設備における段取り占有率と設備稼働率を分析し現場改善に役立てる
- 工程の遅れや無駄などを定量化して、より良い計画立案を目指す
FLEXSCHE Analyzerでは、まず始めにFLEXSCHE内のデータを収集して、「データキューブ(階層化された多次元データ)」を生成します。データキューブの生成方法は、ユーザーが「takt計算式」を使って自由に定義します。生成したデータキューブを閲覧するための「データキューブビューワー」では、表示対象とする軸を指定し、データ階層を開閉できるので、膨大な情報を効率よく多角的に把握することができます。
*なお、データキューブのかわりにデータセット(テーブル形式のデータ)を生成して
スケジューリングルールから参照したり、ファイルに書き出したりすることもできます。
さらにデータキューブから任意の軸と範囲を指定して値を抽出して、グラフを作成することができます。FLEXSCHE Analyzer 14.0で作成できるグラフには以下のものがあります。
- 折れ線グラフ
- 縦棒グラフ/横棒グラフ
- 円グラフ
- バブルチャート
- 散布図
- レーダーチャート
予め標準で用意されている以下の評価指標のためのレーダーチャート(「評価チャート」と呼ぶ)を簡単に作成できます。複数のスケジューリング結果を重ね合わせることもできますので、スケジューリングルールのチューニングに利用できます。
平均作業時間 / 段取り時間平均 / 段取り時間合計 / 未割付け作業数/ 納期遅れオーダー数 / 納期余裕時間平均 / 生産リードタイム平均 / 段取り替え発生回数/ 生産出荷リードタイム平均 / 単純滞留時間平均 / 納期遅れ総時間 / 総作業時間
これを元にして自由に書き換えることもできます。
グラフはFLEXSCHEの画面上で確認できますが、HTML5ファイルとして作成されるものなので、ウェブブラウザで閲覧することもできますし、印刷することもできます。
FLEXSCHE Analyzerはオプション製品です。
FLEXSCHE GUI
作業マーカー
資源ガントチャートのタスクのバー表示の上の隙間に条件に応じたマーカーを表示できるようになりました。従来の作業表示色指定の「ハイライト表示」と同様の簡単な設定と、条件式による高度な設定が選べます。マーカーの色も柔軟に指定できます。[チャート表示設定]-[資源ガントチャート]-[作業マーカー]に指定します。
チャート固有の表示時間帯限定
表示時間帯限定の指定は、従来はプロジェクト全体で共通の設定しかありませんでしたが、チャートごとに個別の表示時間帯限定を指定できるようになりました。[チャート表示設定]-[チャート全体]-[時間軸]-[チャート固有の時間帯指定]に指定します。
負荷チャートで対象パート限定
負荷チャートで集計対象パートを選択できるようになりました。段取りを集計対象から外したり、逆に段取りだけを集計したりすることができます。
チャート休日設定のプリセット値
海外での使用に対応して、チャートの休日設定を外部ファイルで指定できるようにしました。その国の祝日をあらかじめ設定しておけば、休日としてチャートに自動的に反映されます。
条件付き書式文字列
資源ガントチャートとオーダーガントチャートの表示文字列に「場合分け」を追加し、表示する文字列を条件によって切替えられるようにしました。例えば作業ごとに見たい情報が違う場合に、それに応じた文字列を表示させることができます。
プロジェクトの保護と複製
プロジェクトを不用意に保存してしまうことを防ぐため、ファイルを保護することができるようになりました。「保護しない」「保存時に確認する」「保存できないようにする」のいずれかから選ぶことができます。また、従来の「上書き保存」だけでなく、プロジェクトの複製を保存することができるようになりました。
高解像度向けにツールボタンを変更
高解像度環境でも操作しやすいようツールボタンのサイズとデザインを刷新しました。時系列チャートの描画もスッキリしたデザインに改めました。
資源ガントの作業の非表示
資源ガントチャートで作業を条件に応じて非表示にすることができるようになりました。特定のオーダー品目に絞り込んで表示するなど、作業数が多い場合でも表示条件を設定することですっきりとした表示にすることができます。
モデリング&スケジューリング
仮置き工程関係
工程のつながり情報を持たない外部のBOMのデータをそのまま取り込めるようにする仕組みを追加しました。取り込んだBOMの情報は工程エディタ上に表示して、スケジューラに必要なデータにすぐに加工できるようになっています。一般的な生産管理システムとのデータ連携に利用できます。
キー待機でキー指定
コマンド実行メソッドのキー待機でキーの種類を指定できるようにしました。
数値仕様による段取り替え
資源上での先行作業と後続作業との属性変化による段取り替えで、これまでは属性として「品目」「副資源」「仕様」「文字列」を選択できましたが、新たに「数値」も選択できるようになりました。例えば、「幅の狭いものから広いものに切り替えるときには段取り〇時間」といったことが簡単に設定できます。
班資源強化
上級オプション「班資源」の機能を更に強化し、作業毎の班の最大資源量(人数)や班メンバー毎の最小資源量を計算式で指定できるようになりました。
ルールに変数を定義
スケジューリングルールに変数が定義できるようなりました。スケジューリング時に使用するパラメタを変数化しておくことで、ひとつのルールでパラメタを変えて実行した結果を比較するといった計画立案も可能になります。
FLEXSCHE Editor
セルの文字色と背景色
セルの文字色と背景色を自由に設定できるようにしました。色はリアルタイムに反映されます。[各種データウィンドウの上部メニュー]-[列の設定]-[列の編集]-[表示色]に指定します。
FLEXSCHE EDIF
Excel帳票を条件付き書式に対応
レイアウト定義ファイルに条件付き書式を埋め込めるようになりました。生成されるExcel帳票ファイルに反映します。
FLEXSCHE d-MPS
廃棄量の視覚化
消費期限機能(上級オプション)による廃棄量分をMPSエディタにオレンジ色で描画するようにしました。FLEXSCHE d-MPSにおいて、廃棄は供給可能量の減少として反映されます。
日次生産量と日次生産需要量に対応する作業を選択
日次生産量と日次生産需要量のセルのポップアップメニューに[作業選択]を追加し、その数量分を生産または消費する作業を選択できるようにしました。また、作業パネルの「選択された作業」に即座に一覧表示されます。
MPS日時要求量の変動維持按分
日時要求量の「変動維持按分」および「自動変動維持按分」を実装しました。従来の「按分」機能では対象となる日次要求量を完全にリセットして再按分してしまうため、それまで手間をかけて調整したものが失われてしまいます。「変動維持按分」は増減分を現時点でのばらつきに応じて配分するので、それまでの調整が無駄になりません。さらにMPSカレンダーに「自動変動維持按分」を設定しておけば、月次需要量または月次要求量が増減したときに自動的に「変動維持按分」が実行されます。
その他
TPiCS-X Ver4.0とのデータ連携
株式会社ティーピクス研究所の生産管理システムTPiCS-X Ver4.0と連携するためのプロジェクトテンプレートを用意しました。TPiCSのデータベースから直接、EDIFによってデータを取り込み、あるいは書き出すための各種設定(ルール等)が含まれています。新規プロジェクト作成時にテンプレートを選択します。