FLEXSCHEバージョン22
FLEXSCHEバージョン22.0を2023年3月27日にリリースしました。多数の機能拡張が施されています。そのうちの主だったものをご紹介します。(バージョン21.0とバージョン22.0の差分)
貯蔵タンク
品目を貯蔵できる特殊な資源
「貯蔵タンク」資源を使用することによって、作業によって資源に品目を貯蔵したり、逆に資源から放出したりすることができるようになりました。
※上級オプション「貯蔵タンク」(2ユニット)が必要です。
貯蔵タンク内の各品目の貯蔵量の推移は「貯蔵タンクチャート」で確認できます。貯蔵タンク内の品目の残量や空き容量を考慮したスケジューリングも可能です。
FLEXSCHE Optimizer
板取り計画
長方形の板から製品を切り出す際に端材を最小化する機能を追加しました。
詳しい説明はこちらをご覧ください。
ループ塗装ラインの周回計画
ループ塗装ラインのハンガー着脱を最小化する機能を追加しました。
詳しい説明はこちらをご覧ください。
リアルタイム進捗表示と中断
Optimizerがより良い解を見つけたときに「目的関数値」や「経過時間」などの進捗情報がメッセージパネルにリアルタイムで表示されます。また、進捗表示中に作業を中断したい場合は、CtrlキーとBreakキーを同時に押すだけでいつでも中断できます。
これにより、導入開発の時も、実稼働の時もよりスムーズで効率的な作業が可能になるでしょう。
納期遅れ最小化メソッドのカレンダー対応
資源に非稼働時間帯があっても利用可能になりました。(一部制限あり)
以下のサンプルでは、32個の作業の間に動的段取りが設定されており、毎日の非稼働時間帯が入っている状況です。そこで、納期順で立てられた初期計画から出発して、作業の順番を入れ替えることによって、約10秒で納期遅れのない計画に辿り着きました。
FLEXSCHE Communicator
評価版
評価版モードが実装されました。
登録できるプロジェクト数やデータ量に制限はありますが、GPの評価版と同様にライセンスご購入前に機能確認をしていただけます。
チェックアウト一覧画面
複数人でプロジェクトを操作しているとき、データが誰かにチェックアウトされているともちろん編集することができません。 従来は一部のレコードだけがチェックアウトされている状態だと、クライアントからテーブル毎に逐一確認が必要でした。
バージョン22では管理Webコンソール上からデータのチェックアウト状況が一覧できるようになりました。 誰がそのデータをチェックアウトしているかも表示されます。
スケジューリング関連
並列化処理
FLEXSCHE GPと同様に計算式の実行時も並列化に対応しました。 管理Webコンソール上で挙動設定オプションをオンにすると有効になります。
サーバーリスケジュール中止
時間がかかるようなスケジューリングルールをサーバーで実行していると、従来は必ずすべての処理が終了するまで待つ必要がありました。 例えばデータの更新忘れを思い出してリスケジュールをやり直したい場合に、時間のかかるルールを使っていると無駄に最後まで待つ必要があります。
バージョン22でサーバーリスケジュールを強制的に中止するように指示が出せるようになったので、中止してやり直すようなことができるようになりました。
CarryOutとの連携
CommunicatorとCarryOutの連携機能強化の一環として、CarryOutサーバーのプロジェクトデータ更新と、Communicatorサーバーのプロジェクトデータ更新をする機能を追加しました。 Communicatorの管理WebコンソールやCommCLIから実行可能です。
FLEXSCHE WebViewer
オーダーガントチャート行
オーダーガントチャート行を表示できるようになりました。オーダーに属する一連の作業を時系列上に並べて表示します。
資源ガントチャート行と同様に、作業の表示文字列・表示色などを設定できます。
サインボード行の拡張
サインボード行に文字列や表示色を設定できるようになりました。
また、メッシュで区切って表示できるようになりました。表示内容は計算式で指定できます。
[サンプル]品目サインボード
上記のオーダーガントチャート行、サインボード行の拡張により、下のような高度なチャートをWebViewerで表現できるようになりました。 (サンプルはこちら)
製品毎に
- オーダー数とオーダー数量の総量(サインボード行)
- その日が納期のオーダー数を日毎に表示(サインボード行-メッシュ表示)
- その製品をオーダー品目とするオーダーのオーダーガントチャート行
を表示しています。
スケジューリング/モデリング
作業の保留状態と中止
作業に保留状態というステータスが追加されました。
保留となっている作業は割付け処理やエラー報告の対象から外れます。
- 実績の中止指定により以降の作業を計画しないように
- オーダーの保留フラグ + 作業生成メソッドによる指定(特定オーダーの作業をすべて保留に)
- プロパティ設定メソッド
といった操作によって作業の保留状態を自由にコントロールできます。
工程の繰り返し
特定の工程を柔軟に繰り返すことができるようになりました。
工程に繰り返しに関する指定をすると、対象の工程が所定の回数反復するように作業生成します。
代替ジョブと組み合わせることで複数工程をまとめて反復することも可能です。
画像の例ではオーダーごとに塗装工程の実施回数が変わっています。
分割作業間制約
1つの作業から分割された作業の間で、同一の資源を使用するようにしたり、それらの間に他の作業が割り込まないようにしたりすることができるようになりました。
※割り込まないようにするためには、上級オプション「資源占有」(2ユニット)が必要です。
既存の機能「タスク間占有制約」と併用することもできます。
在庫残量による動的分割
作業を割付ける際に、作業が使用する品目の残量や、作業が製造する品目の空き容量に応じて、自動的に分割することができます。
貯蔵タンク内の残量や空き容量にも対応しています。
※上級オプション「在庫残量による分割」(1ユニット)が必要です。
モノや人の位置を示すデータセット
工場でもビーコンなどを使ってヒトやモノの位置を収集する取り組みが行われています。
その位置の情報を受け取ることができるようになりました。生産スケジューラーは作業実績を受け取って工場の現状を把握することができますが、それに位置情報を加えることでより精緻に分析することができるようになり、よりよい計画の立案につながるでしょう。
工程間随時流し制約で分割作業に対応
工程間随時流し制約も分割作業に対応しました。
資源の非稼働時間をまたいだり、能力が途中で変化するような場合にも、どの日時を切り取っても供給・需要の両方から不足が発生しないように制約をかけることができるようになります。
左図が分割対応工程間時間制約を使用した場合で、非稼働時間によって供給側と需要側で点線の部分に逆転が発生します。右図が工程間随時流し制約を使用した場合で、点線の部分でも逆転が発生しないように制約して消費側の開始を遅らせます。
Excel®帳票生成機能
帳票生成機能を大幅に改善しました。
Excel®が不要に
Microsoft Excel®がインストールされていない環境下でも帳票ファイルを生成できるようになりました。
高速化
従来は内部の処理にExcel®アプリケーションを利用していましたが、FLEXSCHEのプロセス内で処理が完結するようになりました。それにより従来よりも帳票生成が高速になりました。
参考値:[GPサンプル]Excel帳票出力 アクティブルールによるスケジューリング時間 45.8sec → 6.3sec
Communicatorサーバーで帳票出力が可能に
CommCLIから帳票出力のコマンドを発行できるようになりました。
ユーザーインターフェース
ミニマップパネル
ナビゲーションパネルがリニューアルしてミニマップパネルと名前を変えて登場しました。
従来のナビゲーションパネルは同期するチャートの表示範囲とパネルの表示枠の対応がわかりにくく、表示したいチャートの位置に的確に移動することが困難でした。
ミニマップパネルではチャート全体を簡易表示することでチャートとの対応がわかりやすくなり表示したい位置に素早く的確に移動できます。
また表示枠の端をドラッグすることでチャートの表示範囲を拡大縮小することもできます。
資源接続制約の違反を分かりやすく
工程間に資源接続制約があるとき、資源ガントチャート上で作業を移動するときに接続違反となる資源に警告を表示することで、違反が分かりやすくなりました。
左の例では「製麺ラインA→ゆでA→製造ラインA」のように上流でラインAに入るとAのまま流れていくという制約があるので、ゆでAの作業を他のライン(ゆでB, ゆでC)に移動させられない、という警告が赤い斜線で示されています。
GUIカラーテーマ
資源ガントチャートや負荷チャートなど、時系列チャートの背景色を指定をテーマを選択して一括で切り替えることができます。
組み込みで用意されているテーマから選択したり、自分でテーマを作成することもできます。組み込みのテーマは今後追加していく予定です。
工程・作業の割り込み挿入
工程エディタ・作業エディタ上で、工程や作業を追加するとき、既存の要素と要素の間に挿入できるようになりました。
例えば工程A,C間に工程Bを追加する場合、従来は新規に配置した工程Bに対し、AC間の工程リンクを繋ぎ変えたり、配置を調整したりする必要がありました。 本改良により、工程Bを新規追加する際その位置指定をAC間のリンク上とすることで、自動的に割り込むようにリンクを形成します。
FLEXSCHE CarryOut
設定ファイルのアップロード
CarryOutクライアントで使用するカスタムレイアウト用のファイルなど、設定ファイルをFLEXSCHE GPのプロジェクトからCarryOutサーバーへアップロードできるようになりました。
これによってプロジェクト単位でのファイルの管理がしやすくなります。
パフォーマンス向上
FLEXSCHE GPがCarryOutサーバーの更新データを取得するときの処理や、CarryOutサーバーのデータベースへのエクスポート処理などでパフォーマンスが向上しました。
FLEXSCHE DataTuner
入門ガイド
FLEXSCHE DataTunerの入門ガイドが追加されました。FLEXSCHE DataTunerがどんな機能なのか、どうやって使うのかを簡単に体験いただけるような内容にしています。
追加に伴ってランチャーの入門ガイドパネルも一新しました。
表示文字列
データチューナーコンソールの左部カラムが表示文字列の編集に対応しました。
結果の確認をするときに見やすい表示形式に変更できます。
外れ値の検索
FLEXSCHE DataTunerで分析した際に外れ値として結果の反映から外されるデータが存在します。この外れ値として扱われるデータにどういったものがあるのか検索できるようになりました。
原因の分析をする際にお役立てください。
一括適用
分析した結果補正された値を一括でマスタに適用する機能が追加されました。
あらかじめ指定した推奨度の閾値を上回るデータが対象になります。画像では50%を上回る黒字のデータのみが対象になっています。
FLEXSCHE Viewer
FLEXSCHE ViewerでAnalyzerの機能が利用できるようになりました。
Analyzerのライセンスを持つFLEXSCHE GPから出力したViewer用データを開いたViewer上でAnalyzerが有効になります。Viewerを利用するユーザーごとに様々な視点で計画を分析して視覚化することができます。
計算式
計算式入力ダイアログ行番号表示
複数行の計算式入力ダイアログで行番号を表示できるようになりました。
行数が多い計算式を入力したときに行番号を表示することで場所を特定しやすくなります。
追加した関数の一覧
計算式で使える関数がさらに増えて、できることが一層広がりました。